コロナ禍によるテレワークによる働き方も1年になりました。テレワークが一気に増えた最初のころは、リモート飲みなんかもよくありましたが、気が付けばそういうのもほとんどなくなったんじゃないかな、と。もちろん今は外に飲みに行けないわけではないから、というのもあると思いますが、なんだったんでしょうね、あのやらないといけないみたいな謎の雰囲気。
さて、それはさておき、テレワークの課題に「コミュニケーション不足」がよくあげられます。この1年、多くの組織なりマネージャなりが試行錯誤したテーマであり、そして確固たる解決策に辿り着けなかったテーマでもあると思います。
特に不足しているとして耳にするのが、気軽な雑談や、近くにいるから聞いてみる程度のイージーな質問が出来なくなったというものですね。確かに、SlackやTeamsで「ちょっといい?」っていきなり聞くハードルは、人によっては高いと思います。特に若い人から先輩にだったり、元々コミュニケーションが得意でない人にはかなり辛いものがあるのでは、と。「そう?」て思う人は、たぶんコミュニケーションが苦手ではないのだと思います。
バーチャルオフィスツール?
バーチャルにオフィスを再現し、そこにアバターがうろうろし、気軽に会話できたり、ビデオ会議に突入できるツールも一気に増えてきましたが、果たしてどれくらいの効果があったのでしょうか。
視覚的に心理的安全性をさげてくるところはあるかもしれませんが、既にSlackやTeamsが存在する中でさらにもう一つコミュニケーションツールを増やすことのメリットがあるのかも難しいところですし、この画面を見ている暇がないんじゃないかと。
何より感じたのは、安全性が多少下がったところで、ここでコミュニケーションを取れるのであれば、既存のツール上でコミュニケーションは取れるのではないかというところですね。
過去のやり方を再現すること
これらのツールに限らず、既存の環境を活用して「毎日昼に集まってしゃべるルームを作る」とか「気軽に質問できるチャネルを作る」とかいろんな施策があると思いますし、少なからずそのいずれも効果は示していると思います。
しかし、結局根本解決に至っていない理由は、beforeコロナの働き方の再現を目指そうとしているから。
対面でやっていた働き方を完全にトレースできるなんて無理です。「マトリックス」のように仮想現実が現実と同等までいけば別でしょうけど、現状その未来はだいぶ先。にもかかわらず、”あの頃のコミュニケーション”を再現というのはなかなかハードルが高くて当たり前だなと思います。
コミュニケーションをゴールとしない方がよくない?
結局「コミュニケーション」そのものは数値化もできないのに、それを無意識のうちにゴールとして設定していることがそもそもの問題なんだと思います。元々意識されていなかったことかもしれないけど、コミュニケーションが取れることで実現できていた”効果”があるはずで、それこそが実はゴール。
なので、その効果に着目した方が良いと思っています。例えば、その効果が「新しくジョインしたメンバーが定着しやすいこと」であれば、たくさん会話することが解決策なのではなく、ナレッジを強化するとかそういった異なるアプローチで、近しい効果を達成することを考えた方が良いはずです。
さらに、そもそもで、そこを諦めるというアプローチも中にはあるかもしれません。
コミュニケーションで表現することは難しいですが、ビジネスでAという商材やサービスが伸び悩んでいるのを、Bという商材やサービスでカバーするということは多くあると思います。というのと同じ考え方で、コミュニケーション不足で”何か”が低下しているなら、まったく違う”何か”をグッと高める施策でもいいのかな、と思います。なぜなら、ずっと先にある本当の本当のゴールはビジネスの成果だからです。
そんなわけで、1年もこういう働き方をやっていると、いろんな歪みが生じるものですが、今までみたいにその歪みを絆創膏で手当てしていくやり方はもう難しく、その先にある効果や、それをカバーする新しい考えを取り入れてみる方がきっとうまくいくこともあるんだろうな、と思うようになりました。
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